映画「JOKER」を見て
ちょっとだけ話題になったアメコミ映画の怪作、JOKERを見てきた感想です。
多分ネタバレなしだけど、気にする人は読まないでね。
映画「JOKER」とは
うだつの上がらないおじさんアーサー・フレックが、周囲の環境に飲まれながら悪へ堕ちていく映画。
ジョーカーといえばDCコミックスのアメコミヒーロー「バットマン」の宿敵だけど、このJOKERはバットマンとは一切関係がない。
なんなら劇中にバットマンは一切出てこない。
DCユニバースと呼べる映画にもジョーカーは出ていたが、それらとの繋がりも断ち切って独立した作品になっている。
故に、バットマンを全く知らない人でも見ることができるワケ。
バットマンの「ジョーカー」
バットマンに出てくるジョーカーは、元の名前や育ちといった背景がほとんどない。
DCコミックに限らず、アメコミは同じバットマンでも作者が様々に変わることもあって、本名も経歴もバラバラ。
それを多重人格という設定に落としているものさえある。
共通しているのはピエロを模した化粧をしていることくらい。
その中でも今回のJOKERが特殊だったのは本名や親がはっきり出てくること。
等身大の一人の人間として描かれている。
アメコミ映画として
まず、これはアメコミ映画ではない。
ヒーローも出なければ原作「バットマン」の要素もほとんどない。
容姿や環境、自身の病のせいで仕事をクビになり母親の介護で精神と肉体を蝕んでいく、
現実にもあり得そうな環境から、自分もこうなってしまうんじゃないかという悪意の共感が恐ろしい。
極め付けは主演、ホアキン・フェニックスの怪演。
役作りを極めたガリガリの身体と、嗚咽の混じった笑い声がとにかく印象的で、この映画の尾ヒレとなって後を引き続ける。
吹替版がないのも納得の笑い声だった。